マダニ咬傷について

マダニとは、西日本で森林や草むらに生息し、主に春から夏にヒト、イヌなどに寄生する吸血性の虫体です(図1)。 いったんヒトの皮膚に吸着すると、差し口を皮膚深部にさしこんで吸血するため、マダニの小さい体が吸血後は5,6倍の大きさに膨れ上がります。

もし野山や草やぶに入ったあと、マダニに咬まれたのに気づいたら、むしって取ろうとせず、まず皮膚科に来院してください(図2)。皮膚科では咬み口を含めて局麻下に皮膚を切除縫合し、テトラサイクリン系抗生物質内服で治療します(図3,図4)。というのは、マダニ咬傷の5%以下の確率で「重症熱性血小板減少症候群」にかかる人がいるからです。この場合は、発熱、おう吐、下痢、血小板減少などがみられ、一部は重症化しますので、慎重な経過観察が必要です。

春から夏にかけては、飼い犬に虫が付いていないか注意し、予防として
草むらに入るとき衣服の袖を手袋や靴の中に丸め込んだりして、
皮膚を出さないよう気をつけてください。

図1.マダニの虫体像

図2.臨床象

図3.刺し口の組織象1

図4.刺し口の組織象2

Follow me!